僕は有楽町線・要町駅近くの1kマンションに住んでいる。

「勤務先のビルがある渋谷駅にアクセスが良くて、でも閑静な住宅街」という条件で要町に落ち着いたのだが、思っていたより閑静だった。というより「何もない」と言った方が適切かもしれない。池袋駅の隣駅なのに。気軽に入れる食事処が福しんくらいしかないのである。福しんのチンジャオロース定食は確かに美味いが、さすがに毎日は食えない。つらい。

住んでみて初めて知ったが、実はお年寄りが多く住む地区のようだ。しかも戸建て住まい。たぶん昔から住んでいらっしゃるのだろう。お金持ち風の方が多いのである。良いことだ。

ただ前掲の通り、何もないのである。だから、この地区のお年寄りはドトールコーヒーでコミュニティを形成している。いやほんとに。これには驚いた。昔は病院がお年寄りのコミュニティになると言われていたが、要町付近の爺さん婆さんはこぞってドトールにいく。


日曜の午前、僕は初めてこの時間にドトールコーヒー要町駅店に入った。空席、無し。どういうことやねん。「俺はTOEICの勉強してる風な雰囲気出してドヤりたいんだよ!」と思って入ったのだが、禁煙席32席のうち、8割くらいをご老人が座っているのである。老人ホームかと思った。壮観だ。

僕は空席を確認する前にミラノサンドAを頼んでしまった。仕方ないから席が空くまで待っていたのだが、ここは彼ら彼女らのコミュニティ。彼ら彼女らは自由に席を移動することも許される。「おお、久しぶり!元気か?」などと離れの席の人に声をかけては、コーヒーを置きっぱなしにしながらその人の元に向かう。僕は席が空くのを待ってるのだが、その気配は無い。つらい。

ふと座ってる老夫婦を見てみると、コーヒーと一緒におはぎを食べている。いくらケーキ類が充実しているドトールとはいえ、メニューにおはぎは無い。おまえらそれ隣のスーパー「いさみ屋」で買ってきたおはぎだろ。実に嬉しそうに微笑を浮かべながら老夫婦は食べており、こちらもほっこりした気分になってきた。両手にミラノサンドとコーヒーを持って立ってるんだけど。店員も特に注意する気配はない。そう、ここは彼らのコミュニティ。



完全にアウェー戦。洋楽アーティストなのに、ロックインジャパンフェスに強制的に出演させられたJJ72の気分がわかるほどのアウェーだ。つらい。


だいたいこの店のオーバルタイプのテーブル、椅子多すぎである。他人に近づかれると不快に感じる距離のことをパーソナルスペースというらしいが、このドトールのパーソナルスペースはゼロだ。他人同士がこんな距離感に詰め詰めで座れるわけないだろ。そう、ここは喫茶店じゃない。お年寄りたちのコミュニティだからこの距離感が許されているのだ。

そんな街で僕は今日も生きていく。


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