I'm Swayin in the Air

起業3年目を迎えました

ブッキングライブでチケ代タダにするのは悪だ。でも、君はクソバンドしかいないライブのチケに2000円払えるの?僕は嫌だ。じゃあどうするべきか考えた

すごく興味深いツイートを拝見した。これは今の僕の中でのかなり大きいテーマ。テーマというか悩みと言ってもいい。


うあああああ…そうなんだよな…。それは絶対にやってはいけないタブーだ。でもね、10数年ぶりにバンド活動を再開して「やっぱり素人のライブでチケット2000円は高すぎる…」って思うのも事実。そしてこの問題はライブハウス、バンドマン、音楽ファンそれぞれに言い分や構造的な課題がある。別に2000円という金銭が高いとか低いとかいう話ではない。

なぜチケット代をタダにするのが悪なのか?

理由は明白。 市場価格の不当な引き下げになり、マーケットがぶっ壊れるからだ。バカな高校生でもわかるように説明すると、例えばコンビニのおにぎり。だいたい100円〜150円で買えるわけだが、ある日どっかのコンビニ店長が気分で

「めっちゃ在庫余ってるしもう店やめるからもうおにぎり無料でいいで〜す!」

といきなり宣言したとする。同じようなクオリティのものを突然無料で配ればそりゃお客さんはその店に行くだろう。別に仕入先の問屋さんには仕入れ代金もう払ってんだからいいじゃん、って思うだろう。 その時他のコンビニはどうなる?当然お客さんが減っては困るから自分達も自腹を切っておにぎり無料キャンペーンをやらざるを得なくなる。

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そうなるとどうなるか?美味しいおにぎりを作るという商品開発を行う必要がなくなるんだ。どうせタダなんだから。米は国産米から謎の古米や変な国の糞安い米にとって代わり、具は美味しい鮭やタラコが謎の代替魚に変わる。どうせタダなんだからコストかける必要が無い。そうすると経営陣がそのうち「つーかなんでこんなもん作ってんの?おにぎり作るのやめてパン一本にしようぜ、儲かんねーんだから」ってなる。こうしておにぎり市場は世の中から消える。

わかるよね。おにぎりをバンドに、仕入先をライブハウスに置き換えるのだ。パンは音楽ではない別の儲かりそうなエンタメコンテンツだ。そのチケ代無料奴にしてみれば別に音楽で食ってるわけじゃないし、ノルマの支払いだってみんなのバイト代集めれば払えるだろう。そうじゃないんだよ。他のバンドもチケット代を下げざるをえなくなる。だって提供するものは同じなんだから。

で、客は「あの時はタダだったのに2000円も取るのか…」ってマインドになり「ごめん、急用で行けなくなった」とお決まりのドタキャンが続出し、バンドマンはアホらしくなってそのうちバンドなんかやる奴がどんどん消えていき、ライブハウスは経営できなくなり廃業し、そこには誰もいなくなった、となる。

チケット無料にする奴はそういうマーケット崩壊を率先して加担してるのだ。そういうことはもうやめろ。 

2000円でどういうエンタメコンテンツが買えるのか

しかし、しかしだ。実は無料までとは言わなくとも 「たかが素人バンドのライブに2000円(都内ライブハウスの相場)は高くね…?」と思うのも事実だ。たとえば制作費100億円を超えるようなハリウッド映画2時間でもたいてい2000円あれば見られる。ゴミのような素人バンドのライブ5バンド出演する拷問のような2時間に2000円払うのが馬鹿らしくなるだろう。

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東京だったら、2000円で「はとバス」に乗るのも悪くない。都内の有名なスポットを、添乗員さんの解説つきでぐるっと回ってくれて2000円は実に有意義な使い方だ。一方ライブハウスではハイスタやアジカンや椎名林檎の5番煎じのような音が延々鳴ってて2000円だ。死にたくなる。

もしかしするとその高校生は「自分達のライブなんてハリウッド映画と比較したらコスト100億分の1です!だから無料でいいです!」と思ってるのかもしれない。そういうマインドならある意味で妥当な感覚ではあるのだが、やはりそれは音楽シーンの先人たちが築き上げてきたマーケットに対してリスペクトゼロなのでやめた方がいい。

だったらどうすればいいのか?最近おじさんになってから10年ぶりくらいにバンド活動を再開した僕なりの考え方は以下である。

バンドマンに言いたい

1.チケット代の価値を見出す努力をしているか?

曲や演奏のクオリティはもちろんだが、MCやステージングは頑張ってるか?演奏はいいのにMCがクソ残念なバンドをよく見る。別にウケを狙わなくてもいいから、曲ごとに次に演奏する曲名やエピソードを話すだけでもだいぶ変わると思うぞ。

2.SNSちゃんと使ってる?

TwitterやFacebookやブログは基本無料だ。無料で色々な情報を提供できるんだぞ。

ちなみに参考までに言っておくと、お前らクソバンドマンは知らないかもしれないが、white jamというメジャーで活躍する3人組を知ってるか?この間たまたまお仕事で彼らのちょっとしたイベントの裏方をさせていただく機会があったんだけど、彼らはすごいぞ。イベントが終わった瞬間に速攻で「すぐTwitterに投稿するから!早く!」とすごい勢いで写真撮ってアップしてた。彼らのプロ意識は本当にすごい。プロがそれだけやってるのに素人がやらない理由がない。

3.ライブ前後のコミュニケーションちゃんとしてる?

あと、ライブ終わった後すぐ来てくれたお客さんに挨拶しにいってる?うちのバンドは終演後、別に意識はしてないけどすぐ来てくれた人のもとに行く。そういえばこの間渋谷の某ライブハウスに出演した時、他のバンドの出演者が狭い楽屋で寝てる奴がいてこいつ永久に寝てればいいのにって思った。

またチケット代をどうしても下げないと集客できないなら、来てくれる人に別のコストを負担するべきだ。例えば僕のバンドは最近LINE@アカウントを制作したんだけど「僕らのLINE@に登録して、そこからチケット予約をしれくれたらチケットを半額にする」という実験を行っている。この実験のメリットはチケット代を値下げするかわりに

1.LINE@経由から手売り依頼をしてもらえれば、手売りライブチケットのリスト管理コストが下がる

2.次回のライブ告知や音源発売時の告知を、LINEにダイレクトに流せるというPUSH通知メリット
この2点の相互メリットやコストをお客さんに負担してもらうことで半額にしている。もちろんLINEをやってない人は普通金額をもらうし、仮に友だちであっても必ずその場でLINE@に登録してもらうことは鉄則にしている。

別にTwitterのフォローでもいいし何でもいいと思うんだけど、ある程度コスト感とメリットまでしっかり考えた上でやったほうがいいだろう。ちなみにこの実験もさすがにギリギリかなと思ってて、いつまで続けるかはわからない。


ライブハウスに言いたい

1.ゴミバンドは出しちゃダメです

経営のこともあるし、もちろん素質がある子がいるのもわかるけど、それはオーディション形式にして安いコストに抑えてあげればいいのに、って思う。へっぽこバンドにノルマ2000円☓20枚とかはさすがにきついだろ。


2.バリューの高いバンドと前途明るい若手を組ませる

この間「良いな」と関心したのが新代田FEVER。小林太郎が出演するFEVER主催ライブやってたんだけど、それに出演してたのが僕らが3月のFEVERオーディションライブで共演したペンギンリサーチだった。演奏もうまくてMCも良いからこれから売れるだろうなって思ってみてたんだけど、そういう前途要望な若者バンドをバリューあるアーティストと組ませてあげて相乗効果狙っていくのも有効な手段だな、と。


3.ドリンクやフード頑張る

POPOレベルはさすがにすごい大変だと思うけど、渋谷乙なんかはライブ終演後はお酒半額だしチケットなくてもその金額で飲めるっていうのやっててこれが結構いい。それくらいならどのハコでもできるじゃないですか。ビール600円は高いって。


4.Webサイトどうにかしろ

これが一番言いたいことかも。ライブハウスのウェブサイトってどうして揃いも揃ってあんなにインターネット黎明期なんですか。音楽コンテンツなのに音が流れてこない。バンドのサウンドクラウドやyoutube貼ってあげるとかすればいいのに、っていつも思う。

あ、ノルマ制や都内のチケット相場が2000円なのは理解できててそれは悪いとは思ってません。それよりはライブハウスに来たくなる仕組みを作って欲しいです。

客に言いたい

嫌なものは嫌と断れ

実はこれに尽きると思ってるんですよね。なんでみんなすぐに断らず回答濁して当日にドタキャンするんだろうねw

バンドマンから誘われると「あ〜、友だち付き合いもあるし…いかないとなあ…Facebookにもいいねしないと関係悪くなりそう」とか思ってるのかな。だからダメなんだよ。お前の大切な二時間と2000円を燃えるゴミにする必要はない。はっきり言ってあげてください。

んで、本当に行きたいと思ったらその時に正規の金額を払ってライブハウスに行ってみてください。ライブハウスは実はめっちゃ面白いところです。いろんな人がいて、デカイ音が鳴ってて超気持ちいい場所で、お酒や食事が美味しいところも多い。コストを払ってその分楽しもうと思えば十分楽しめます。たぶん職場の愚痴飲み会に参加して4000円とか払うよりは数倍楽しいです。そういう楽しみ方を覚えてください。


って所なのかな!あー文章長いしおにぎり食べたくなってきたからそんじゃーね!