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起業3年目を迎えました

荒川ケンタウロスを好きな女性のことが好きだった、という話


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僕が荒川ケンタウロスを好きになったのは些細な理由だった。

 
昔の話だけど、好意を寄せていた女の子がいた。音楽の話をしているとき彼女は「私、最近荒川ケンタウロスが好きなんです」と言った。まだ荒川ケンタウロスがインディーズで活動していた頃だ。トリッキーなバンド名だし、何かのイベントに出演していた彼らをチラ見していたので名前は知っていたけど、ちゃんと聴いたことはなかった。



荒川ケンタウロス
exPoP!!!!!
2011-11-23

CDショップで手に取ったこのミニアルバム。懐かしいじゃねーか。別にその女の子に対して良い顔したいと思ってたわけじゃないけど、好きな人が好きなものに興味を持つことは別におかしいことじゃないだろう。




「天文学的少年」。彼らの初期の名曲だ。Vocal一戸の優しい声とシンプルなギターアルペジオで構成されたこのポップソングは、当時耳の早いリスナーの心を虜にしていた。
たどり着いた夜はどこまでも全て消えてしまいそうだった
大切なものが分からなけりゃ目を閉じてみておくれよ

嘘もほんとも全て投げ出して やりたいことだけをやるだけで
不思議なくらいすべて すべてうまく行く

キラキラとした美しいメロディに、ネガティブな環境から抜け出そうとする歌詞に魅了された人も多かったに違いない。この作品2011年だったのか。

まったくもって個人的な話だけど、僕はずっとブラック企業で働いていたり定職に就けない時期がとても長かった。ただラッキーが続いてIT企業に滑り込み、2011年にはライブドアという会社に転職してた時期だった。人生ずっと暗い時期が続いていたけど、このあたりから順調になってきたことだけは鮮明に覚えている。やりたいことだけをやるだけでうまくいく。それを体験していた時期だったのかもしれない。

その後荒川ケンタウロスはインディーズから傑作をリリースし続け、動員も着実に増やしていき注目度を高めていった。そして2015年、彼らの才能がいよいよ爆発した。メジャーに移籍してリリースされたアルバム「時をかける少年」は、僕にとって2015年に聴いた全音楽作品の中でベスト5に入ってる。それくらい魅力的な曲が詰まったマスターピースである。



荒川ケンタウロス
日本コロムビア
2015-11-18





このトレイラーで魅力が伝わるんじゃないかな。冒頭3曲で甘酸っぱい系ポップソング大好き女子はまちがいなく息止まるんじゃないかな。特に3曲め「恋をするように」。このサビのメロディと音のタメ。このCDを手に取った時、僕はこの曲をずっとリピートしていた。




ホーンセクションや跳ねたベースリズムなどブラックミュージックの雰囲気を折り込みながら美しい曲に昇華させた「dancedance or die」。不器用そうなバンドにみえて実は様々なジャンルの良いところを絶妙に自分たちの曲に反映させていける器用さが、一戸の「歌うだけで名曲になる声」と最高地点で交わった超絶名曲だと思うけど君はどう思うかな。


ここ最近活動を停止していた彼ら。2017年の今年いよいよ活動を再開するらしい。今週末6/3渋谷o-nestでのライブ、オンライン生中継があるようなので僕は観ようと思ってる。君も観た方がいいよ。

 
 
「荒川ケンタウロスが好きです」
 
僕にそう言っていたあの子と何か起きるわけでもなく、その後別々の人生を歩んでいくことになった。彼女は今、素敵な家族に囲まれて幸せに暮らしていると風の噂で聞いた。僕もそれなりに幸せな人生を送ることができています。お元気で。

荒川ケンタウロスの再始動の話を聞いてふと個人的などうでもいい話をブログに書きたくなった、というわけです。