I'm Swayin' in the Air

新潟〜東京行ったり来たり

空想委員会のライブ観にいったんだけど最高過ぎてちょっとヤバい

空想委員会というバンドをご存知だろうか。
 
10代〜20代前半音楽好きの中でもぶっちぎりで人気のあるバンドだ。僕は30代後半であり、不惑直前で加齢臭を撒き散らしながらただ路頭に迷うだけの人生を歩んでるどうしようもない人間の割には若い子たちに人気のあるバンドの知識はある。老人しか来なくなったフジロックにも行くけど、若者が集うカウントダウンジャパンに行っても半分くらいのバンドはわかるんだぜ。若者ぶるのもうやめたい。
 
 
さて、空想委員会だ。
 
自分のバンドに「The Look at Me's」とかいうどうしようもないバンド名をつけてしまった僕が言うのもなんだが、バンド名に関してはいかがなものかというか、正直いうと初めて聞いた時「ダサくね?」と思った。
 
ところがね。何が最高って、ギターボーカルの三浦さんがテレキャス(しかもシンライン)、ツインリバーヴ、眼鏡。あまりイケメンじゃない。そう、完璧にグッドポップメイカーの要素を揃えてるわけ。最高じゃん。というわけでそんなJギターポップの王道を突っ走る空想委員会のワンマンツアーファイナルを見に渋谷TSUTAYA EASTへ行ってきました。彼らのワンマンを見るのは初めて。
 
 
 
『劇的夏革命』〜『不純の歌』で始まったこの夜。出音一発目からちょっとすごいことになってた。最近のライブは音の粒がここまで細かく聴こえるようになったのかという衝撃。そしてライティングや絶妙なサウンドバランスによる迫力。「え…最近の日本のバンドってもう完全に海外のバンド超えてんじゃん…」なんてことを考えていた。
 
いや、実はカウントダウンジャパンに行った時すでに気づいていた。バスピエの演奏を観た時かな。音があまりにも良すぎてサマソニで観たどの洋楽アーティストよりも音がいいぜ…と感じていたのである。日本の進化は本当にすごい。
 
 
 
「マフラー少女」の、初期アジカンを思い出させるようなこの青さよ。「淡々とした抑揚」とでも表現すればいいのだろうか。
 
 
ところで僕たちは、英語で歌われた曲の影響を多分に受けて生きている。演奏はその影響をストレートに出しても受け入れられるが、問題は歌詞だ。英語と日本語は当たり前だが全然違う。英語と異なり日本語詞は一文字一文字に音を当てなければならない。例えば「I wanna meet you〜」なら5つの音で済むところが「きみにあいたい〜」だと必ず7音以上になる。
 
B'zやサザンは「巻き舌やオーバーな抑揚をつけて、英語っぽく日本語で歌う」という歌い方を開発したが、恥ずかしすぎて誰も真似できなかった。そこで、アジカンのように淡々と丁寧に日本語詞に音を当てて、説明的に歌っていく手法が2000年代に入ってから開発された。その歌い方は、カリスマ的な体育会系感から遠く離れた草食的な雰囲気を帯び、それが若い女子に受け入れられたんだろうなー、と思っている。 
 
 
 
脱線したが、空想委員会の魅力の一つが、そういった先人たちの開発した手法をストレートに表し、エッセンスを絶妙に抽出しつつ「文化系草食感」を全面的に出しているところであろう。聞くところによると、親子で空想委員会のファンというケースも多いらしい。わかる。これね、子供が家で音源流してて親の方がハマっていくパターンだわ。
 
ところでギター3カポだよ。3カポはマジで名曲多いんだって。おれ統計だけど。
 
 
 
 
「会場でメガネの人手を上げて!俺は知ってる。みんなメガネをとったらイケメンだし、みんな美女だ。そんなメガネ着用者に捧げます!」
 
という三浦さんの煽りとともに『美女眼鏡』が演奏開始なんだけどもうMCからしてThis is 向井秀徳の影響が圧倒的に出ている。「誰かに似てるなー」と思ってたんだよ。そうか。佇まいから演奏まで向井秀徳が彼のルーツなんだろう。美女に捧げます系。もうおれの頭の中はやよいちゃんに捧げますln my head状態であります。
 
曲展開も、超絶複雑な展開にポップフレーズを強引にぶちまけてるあたりnum-heavy metallic感あっておじさんはノスタルジー感覚えながら涙したよ。若い子たちには新鮮に聴こえるだろう。先人たちの音は、空想委員会のような天才によって確実に受け継がれていく。
 
 
『エリクサー中毒患者』。曲名おかしい。世間的にエリクサーというのが何を指すのか僕は知らないんだけど、ギタリストはみんなエリクサーというメーカーが作る弦が大好きなのだ。僕もギター弾きの端くれだが、エリクサーの弦に張り替えてからギターがうまくなってる気がする。たぶん気のせいだけど。
 
 
この日圧倒的に良かったのが2/10に出る新譜『ダウトの行進』のオープニングトラックである『ミュージック』だろう。この曲のメロディとフレージング、絶妙なタイミングの変拍子(社長のドラムがうますぎて毎回ビビる)が完全に名曲の要素を兼ね揃えている。この曲、ほんとにめっちゃいい。僕が聴いてきたここ数年のJロックの中でもダントツの名曲だと思う。こういうストレートで優しく疾走感のあるギターロックは久々だ。『ダウトの行進』は、アジカンの『ソルファ』や、The Strokesの『Is this it?』のような時代をぶっちぎる後世に残る名盤になるんじゃないだろうか。そんな期待感を持つトラックだ。
 
 
2時間半近い圧倒的なクオリティの演奏は本当に素晴らしかった。
 
 
 
欲を言えば、完璧なポップネスショウというか、完全なパッケージ感があり、予定にないようなエモーショナルが爆発する瞬間が欲しいな、と感じた。
 
僕はよくブラッドサースティブッチャーズの話をするが、吉村秀樹は数年に一回くらいの確率で「こいつ頭おかしいんじゃねーのか」と心配になるくらいのブチギレ方をステージで見せることがあり、僕たち熱心なファンはそれを恐怖を感じながらもプレミアな体験として記憶に刻んでいる。プロレスやってんのにいきなりブック破りやっちゃうみたいなあの感じね。
 
そんな強烈な瞬間欲しいなー、と思ったけどそんなことやっちゃったらブッチャーズみたいにマニアックな人たちになっちゃうからやっぱりやらなくていいです。メジャーの王道を突っ走っていき爆発的な人気を誇って欲しいですね。空想委員会。ほんと良いバンド。また観に行きたい。