数えて2度ほど、僕は北海道の富良野に行ったことがある。
札幌と違い、観光客なんて数えるほどしかいなかった。ある時、僕は富良野のとあるストリートにただ立っていたんだけど、それだけですごく物悲しい気分になっていた。
別に理由なんかないし、富良野の経済がどうなのかも知らない。ただ、その地で鳴らされる音楽は、やはりどこか憂いを帯びる音になる。
2016年9月25日、突然Youtubeに公開された富良野出身「チェリーボーイズ」のEPもまた、富良野独特の影と優しさを持ったサウンドに仕上がっていた。
全体的には演奏もうまくないし稚拙な部分もあるけど、緻密に折り重なるギターサウンドはThe Promise Ringを想起させるし、抑揚を抑えながらささやくように歌う女性ボーカルはRainer Mariaやtoddleの田渕ひさ子を感じさせる。
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音楽は、土地柄と切り離すことができない
音楽は織りなすその人が居る、その土地柄と切り離すことができない。人間は今いる場所の空気を敏感に感じ取るはずで、同じ歌詞を書いたりコード進行を弾いても「これは何か違う…」「めっちゃ良い曲になった!」という取捨選択をした上で曲を作っていくことが多いと思う。
それは、たぶんに今いる「場所」が影響しているのだと思っている。
冷たい空気躱して
雨が逃した眠る街
素足で駆け出したら
やっと見つけた
溢れる灯り
3つのカケラ
「3つの呼吸」
当たり前だが、沖縄にいてこの歌詞は生まれてこない。コード進行もサウンドもキーも決して暗いわけじゃない。むしろメジャー感ある構成なのに、聴き込むとどこまでも青く寂しく憂いているサウンドになっている。
僕はこういう音をいつも好んで聴いていた。まさか2016年にまたこんな音楽に出会えるとは思っていなかった。どうも音源は残っていないみたいでyoutubeでしか聴けないらしい。それもまた2016年ぽくて良い気がする。
またいつか、富良野にいこう。
チェリ男情報
■アルバム
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