I'm Swayin in the Air

起業3年目を迎えました

最近読んだ本『誰が音楽をタダにした?』が面白すぎてビビる

「Kindleで読むかフィジカルで読むか?」悩ましいよね〜。

 

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というわけで読んだ本の読書感想文的なのもブログに書こうかなー、ってことでダラダラ書きます。

 

ちなみに僕はKindleで書籍を購入することが多いです。理由としては「スマホ持ってればいつでもどこでも読める」「コーヒーとかこぼしてゴワゴワになったりカバンの中入れてもシワシワになったりしない」くらいのしょーもないことが原因だったりする。

 

しかし、最近Kindleで読んでる本の「完読率」が低い事実に気づいた。僕みたいなADHDの人間はあちこち気が散ってしまうので、読書という集中力を要する行為をスマホのようやマルチデバイスで行うことは無理ゲーなのである。

 

というわけで久々に紀伊国屋にいってフィジカルで買った本なんですが、最近文庫化された名著『誰が音楽をタダにした』をついに読んだよ(遅い)。ちなみにこの本はほんとにめちゃくちゃ面白かった。音楽に携わる全ての人が読むべき本です。

 

 

誰が音楽をタダにした?──巨大産業をぶっ潰した男たち (ハヤカワ文庫 NF)

誰が音楽をタダにした?──巨大産業をぶっ潰した男たち (ハヤカワ文庫 NF)

 

 

特にアラフォー世代で洋楽を熱心に聴いていたことがあり、かつまだ読んでなければ必読です「うわあああ!」と悶えるはずです。「NAPSTAR」の宇宙人アイコンを見るだけで青春が蘇ってきちゃう悪い人いませんか?はい、僕のことです。

 

僕と「NAPSTAR」

ちなみに僕の昔話をしちゃうんですが、10代後半に人生初のPCを買いました。スーパークソスペックのソーテック製ウインドウズ機(OSも悪名高きme)。僕は当時からインターネットでのカルチャーが大好きで、恥ずかしいけど特にハマっていたのがAOLやヤフーのチャットだった。当時、チャットコーナーがヤフートップにありそこからトピック別に部屋が分かれており自由に出入りして会話することができた。もちろん1to1で会話することもできたので、ティーンズにとってこれほど刺激的なエリアはなかった。

 

洋楽好きな人が集まる部屋によくいたのですが、とある人から「NAPSTAR」の存在を教えてもらった。当時猛威をふるっていた音楽ファイル共有ソフト。音源が欲しいアーティスト名を打ち込むと、ずらりと並ぶ音源ファイルがあり、自由に自分のPCにダウンロードすることができた。僕は信じられなかった。R.E.Mもpavementも、kind of like spittingもThe flaming lipsも、他にも何から何までカタログが揃っていた。おいおい、これタダでダウンロードしていいのか?本当にいいのか?

 

著作権的にはどう考えてもアウトだと思ったが、おそらく僕たち音楽ファンは「友達との私的な貸し借り」が「たまたまオンラインになった」くらいの感覚で気軽に使っていたのだとおもう。僕も片っ端からダウンロードして、ハードディスクが一杯になってしまった。僕はビルボードトップランキングに入る音にあまり興味なくて、日本ではなかなか手に入りにくいアメリカのインディーズ、とくにカレッジチャートに入りそうな音楽を探すために使っていた記憶がある。僕はインターネットの力を借りてライブラリを充実させることができ、満足だった。

 

タダの音楽はどこから、どうやってやってくる?

この本は精緻な取材から描かれるドキュメンタリーなんだけど、僕と同じ「NAPSTAR中毒」だった筆者のスティーブ・ウィットが「ところでこれらの音源は、どこからどうなってやってくるの?」という純粋な疑問から調査を開始したシーンから始まる。ただのファイル共有ならまだしも、エミネムや2pacなどのヒット間違いなしな作品が片っ端から「発売前からリークされる」というとんでもない事態が起き始める。いったいどこから漏れてるのか。

 

舞台はアメリカ。ノースカロライナ州の西の田舎町であるシェルビー。僕の友人でノースカロライナ出身のマークちゃんもシェルビーという地名を知らなかったくらいの何もない街だ。その街にあったとあるCDプレス工場で働く「グローバー」という黒人の男が「発売前の貴重な音源をひたすら流出させていた」という衝撃の事実が描かれる。もちろん単独犯なわけはない。背後にいたオンラインの音源リーク組織の存在も詳らかに描かれていて、この辺りの描写がミステリー小説を読んでいるみたいでくっっそテンション上がってくるわけです。

 

そしてちょいちょい描かれるのが実は日本盤の存在。僕くらいの世代の洋楽ファンはよく覚えてるだろうけど、日本盤のリリースってなぜか海外よりも1〜2週間くらい早かった時期があったんです。しかもCDの最後には海外盤には収録されていない貴重なボーナストラックがついていたりした。これも音源リークの元となっていたらしい。明らかに日本人がこの犯罪に関わっていたけど、日本の犯人は結局捕まらなかったという。誰やねんいったいw

 

他にも音源ファイルの規格戦争(mp3が既に懐かしい!)やユニバーサルミュージック社の歴史と勃興について細かく描かれて、それが最終的にすべて伏線を回収して繋がっていくあたり完全にエキサイティング。こんなに面白い音楽本読んだことなかった。音楽に携わるすべての人が読むべき本かなと思います。

 

 

そんじゃね。