個人的な昔話をしようと思う。
僕は今40歳になったんだけど、ここ最近は本当に幸せだなと思う。好きな仕事ができて、プライベートもとても充実している。できれば今の状況がずっと続いてほしい。
しかし。振り返ると僕の人生の20代は本当にどうしようもない、とても惨めな10年間だった。まともな会社に就職できず、かといって何かクリエイティブな活動をするわけでもなく、ずっとニートとフリーターを繰り返しながら無為に人生の時計を進めていた。
今でも真夏になると、炎天下の中「タイムス」という駐車場に待機して、車を停める人に無料会員カードを斡旋するというアルバイトを熱中症になりながらやっていたことを思い出す。そこで得られる数千円だけが生きていく糧だった。自分が生きてるのか死んでるのかわからなかった。
そんな生活を送っていたけど、20代前半僕は稼いだ僅かなお金をすべて音楽に費やしていた時期があった。この頃知ったbloodthirsty butchersの「kocorono」「未完成」という今でも日本の音楽史上に燦然と輝く名作をリアルタイムで経験してしまったせいで、僕は多感な時期に今では初期エモと言われるような音楽を渇望するようになっていた。下北沢、渋谷、新宿のレコード屋やライブハウスにいつも入り浸っていた記憶がある。
たぶん自分21歳とかそのへんの時期の写真だ。友だちになりたくないくらいキモい。
当時の現象で今でも覚えている人が多いのはnumber girl登場時の熱狂だろう。メタルにもパンクスにもなれない文学少年達が待ち望んでいたであろう、ポップスと爆音ギターが混在したサウンドに僕たちはライブハウスで暴れまくっていた。
その後僕はbtbの流れを受けてcowpersやeaseten youthに代表される札幌系ハードコアの洗礼を受けることになった。彼らが東京でライブをやるたびに僕らは必死でチケット争奪戦に参加した。シェルターやロフトでの公演が多かったので、ロフト会員みたいなのになった記憶がある。
特にcowpersは本当に好きで、大枚をはたいてほぼすべてのカタログを手に入れたし、東京のライブはほぼすべて行った。彼らの最後のアルバム「揺ラシツヅケル」はまじで超絶傑作なので日本人全員に聴いてほしいんだけど、作品の密度が濃すぎたせいかあっという間に空中分解してしまったことは今でも本当に悲しい。
まあでも、どんなに再評価されてもリユニオンとかはしないだろうなwそんなキャラじゃないよね。もししてくれたら全公演駆けつけます(今メンバーの皆さんがそれぞれやっているプロジェクトも大好きだわ)。
更に札幌を知りたくなりいろいろ聴くようになった。僕が当時もっとも聴いていたのはbufferinsかなー。その流れからcuthbartsが好きになった。あとblack film danceとCarnival of dark splitのスプリットはアホほど聴いた記憶がある。僕の札幌への憧憬は今でも止むことがない。
cuthbarts 2010_02_28 夏色の列車に乗って
僕は「常に当事者たれ」という言葉が好きで、何ごとも「自分でやってみて初めてわかることがある」と思っている。たまたまギターが弾けたので、そのシーンの熱狂に呼応するように自分でもバンドを結成していくつかのライブをやっていた。bloodthirsty butchersと一回ライブをできたことは本当に幸せだったし、自分たちの企画に3cm tourが出てくれたことも今となっては信じられないというか奇跡以外の何物でもないと思う。
3cm tour - live @ am seven, 2003.
とりとめのない文章になってきたが、さらに僕の人生は進む。もっとディープでハードでポップな音楽が聴きたいという欲求が止まらなくなり、まずアメリカのアーリー・エモを聴くようになっていた。CAPN JAZZはもちろん、AFやプロミスリングといったキンセラ界隈はできる限り追っていたし、シェルターで開催されたtoeとpeleの日米インストポストロックガチンコ対決ライブももちろん行ったぞ。
もちろん日本の音楽も聴き続けた。当時めちゃくちゃ好きだったのはThere is a light that never goes outとnine days wonderだったかな。この間丸の内線乗ってたら9dwのTシャツ着てる人いて思わず話しかけちゃったもん。
時系列がめちゃくちゃになってきたけど、僕の中 での「美しすぎるEMOの音像」の最高峰に君臨するのが、この頃に聴いたbluebeardだった。bluebeardを聴いたことが僕の中での音楽の趣味を決定的にしたものであると言っても過言ではない。過剰なエフェクトを施すことなく、流麗なリフやアルペジオを軸に鳴らされるサウンドに僕の熱狂はピークに達した。こんなにも美しいサウンドを鳴らすエモ・アルバムが出るなんて。
しかし、僕はなぜかたまたまタイミングが悪く当時のbluebeardのライブを観る機会がないまま彼らは活動休止をしてしまった。
それとほぼ同時期に僕の中での音楽への欲求が急速に萎んでしまい、やっていたバンドは解散。僕はギターも含めて持っていたすべての機材を売り、まったくといっていいほどライブハウスに行かなくなってしまった。
そして前掲の通り僕の人生は「暗黒の10年間」に突入していった。
・・・
あれから18年が経った今。
信じられないけど、僕は再びギターを手にしてまたバンドをやっている。2014年に会社の同僚たちとストレス解消目的でスタジオに入ってたんだけど、だんだんオリジナル曲を作り始めてしまったので本格的に活動を開始した。バンド名は「The Look at Me's」という。もちろん僕はバンドを解散させた23歳からギターを弾いてなかったので全然弾けなくなっていた。それなりに練習をして、都内のいくつかのライブイベントに参加させてもらった。
そして2018年9月16日(日)新宿ナインスパイスでのライブに出演させていただくんだけど、信じられないことがおきている。ラインナップに「RENA」がいるのである。
そう、RENAは僕が熱狂してきたbluebeardの高橋さんが現在やっていらっしゃるバンドだ。まさか高橋さんのworksと自分のやっているバンドが交わるときがくるなんて夢にも思ってこなかった。そういえば2015年のbluebeard期間限定復活のとき幸運にも復活第一弾のライブに行くことができたんだけど、当時The Look at Me'sも活動はしていたけどほんとただの趣味、って感じでまさかこんなことになるなんて信じられない。
ついに僕はbluebeardを観た!ROOM501で新代田FEVER観客全員爆発 - I'm Swayin' in the Air
僕の中での日本人三大ギタリストといえば吉村秀樹、竹林現動、そして高橋良和だ。今から緊張して飯が喉を通らない、って書こうと思ったけど普通に飯は食えててこの辺は不惑だなって思った。
が、いずれにしても僕は当日を迎えるのが恐ろしくなってきている。いつも緊張することなんてないんだけど、さすがに今回は緊張していてやばい。うんこみたいな演奏をするわけにはいかない。
ってことで私今回のライブはガチで気合入っています(いつもマックスでやってるけど)。今回誘っていただいたライブ「えんぴ生誕祭'18」はやばすぎるマキシマムザオーバードライブ感あるメンツですよほんとに。RENAはもちろん、ANYOも出ます。
今年のフジロックに出てる人たちですよ!特にやましーさんのブログ、バズっててブロガー的にも尊敬していて羨ましいし、音的にもドープ系ロックでめっっっちゃカッコいい。ブリストル形トリップホップ好きな人は絶対に観に来たほうがいい。
子供達と3日間フジロック行ってみて思ったこと - ヤマシーブログ
そしてcamping trailer。
Camping Trailer - "Get Ready" MV
お世辞抜きで、現在進行系のジャパンインディで最高峰の美麗なメロディを鳴らすバンドだと思ってる。キノトでライブ見たときは、もはやシガー・ロスくらいのレベルになってきてるな、と思ったからね。今のキャントレを体験しないやつに音楽を語る資格ないと断言しちゃうかんねおれは。
今回のライブ観ないで2018年を語ることなんかできないですよ。20世紀に終わりが告げられた頃、僕はずっとライブハウスに入り浸ってきたおかげで今回のブログを書くことができた。今の若い人にもたくさんライブに来てもらって、未来に色んなことを語り継いてほしいと思ってます。もちろんウチラのライブじゃなくていいけど、せっかくなら遊びにきてくれると嬉しいです。ってことで9/16(日)@新宿ナインスパイスで待ってます。
2000年、僕はアーリーエモの熱狂の中にいた。
ノスタルジーでしかない思い出なのであまり語ることもなかったけど、2018年今回の件をキッカケにして、初めてあの頃と今の自分が地続きになっていることに気づいた。過去の自分と今の自分を引き合わせてくれた多くの人たちに感謝したい。
ライブに来ていただける方は、ブログのコメントとか僕のインスタとかLINE@とか、なんでもいいので声かけてください〜チケット取り置きます。
そんじゃねー。